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(7)免税事業者が消費税別記の請求書を交付できる?

Q 免税事業者が消費税別記の請求書を交付できるのでしょうか?

A 適格請求書等を交付できるのは、適格請求書発行事業者の登録を受けた課税事業者のみとされるため、免税事業者はインボイス制度の開始後において、適格請求書等を交付することはできません。
この点で、インボイス制度の開始後において、免税事業者が消費税額を別記した請求書を交付することが、適格請求書等と誤認される恐れがある書類(適格請求書類似書類等)の交付にあたるとして、ただちに罰則規定の適用を受ける事態は考えにくいところです。ここで、税額別記の請求書とは、例えば「本体価額70,000円+消費税7,000円=取引総額77,000円(適用税率10%)」といった記載がある請求書を想像してください。
もっとも、法令上禁止されていないからといって、このような消費税別記の請求書(消費税額を記載した書類)を交付することは、取引先とのあらたなトラブルにつながる懸念があります。以上の考察から、インボイス制度の開始後において免税事業者に留まる事業者など、適格請求書発行事業者の登録を受けない事業者においては、相手方に交付ができる請求書の体裁について見直しが求められると考えるべきでしょう。
ちなみにインボイス制度の開始後、免税事業者が取引の相手方に交付ができないのは「適格請求書等」とその類似書類等あって、そうした請求書等には該当しない請求書や請求データ(例えば、単に「取引総額77,000円、適用税率10%」といった記載があるもの)を交付することについては、特段の制限は設けられていません。

2023/1/4 税理士小林俊道事務所

(6)適格請求書発行事業者でないものがインボイスを交付したらどうなる?

Q 適格請求書発行事業者ではない者がインボイスを発行して交付をした場合、自社や取引の相手方にどのような影響が生じますか?

A 相手方において仕入税額控除ができないばかりか、交付サイドでは、いわゆる偽造インボイスの交付による罰則が適用されます。

仮に、適格請求書発行事業者の登録を受けていない者が、記載項目を満たした請求書を発行して交付をしたとしても、そのような請求書は適格請求書等としては認められず、交付を受けた相手方において仕入税額控除を受けることができません。また、適格請求書等であると誤認される請求書(「適格請求書類似書類等」と言います。)を交付すると、1年以下の懲役または50万円以下の罰金に処されるとの規定も存します。インボイス制度には、このような罰則規定が設けられている点にも留意すべきです。

2022/02/04 税理士小林俊道事務所

(5)誰でもインボイスは発行できますか?

Q 適格請求書発行事業者の登録を受けずにインボイスを発行できますか?

A たとえ課税事業者であっても、登録を受けないと適格請求書等(インボイス)を発行できません。

インボイス制度が始まると、仕入税額控除が受けられる適格請求書等は、税務署長に申請して登録を受けた課税事業者である「適格請求書発行事業者」のみが発行をし、交付をすることができます。このことは裏を返すと、免税事業者はもちろんのこと、たとえ消費税の課税事業者である場合でも、適格請求書発行事業者の登録を受けていなければ、取引の相手方に対して適格請求書等を交付できないことを意味します。インボイス制度の根幹は、事業者登録の制度にあると言われる所以がここにあります。
また、適格請求書発行事業者となるためには、自ら適格請求書発行事業者の登録申請をする必要があります。この点、課税事業者である事業者に自動的に登録が付与をされる仕組みとはされていないことに注意が必要です。また、免税事業者であっても、自ら課税事業者になることを選択すれば、課税事業者と同様に適格請求書発行事業者の登録申請をすることが可能になります。

2022/02/02 税理士小林俊道事務所